薬価の制度が変わるかも?

先日、オプジーボという癌の治療薬の薬価(薬の値段)が、来年の2月に緊急的に50%も引き下げられる事が決まりました。

通常、薬価の改定は2年に1回で、次回は平成18年4月でしたが、オプジーボの場合、もともとの薬価が高い上に保険適用が増えたことなどにより、薬を服用する患者さんが大幅に拡大し、販売額は2015年度決算の212億円が2016年度見込みで1260億円と急増する見込みとなり、その結果「高すぎる」という批判から来年2月に特例で値下げされる事が決まったようです。
ちなみに、オプジーボ100mgがワンボトルで薬価が73万円。病状にもよりますが、標準的な使われ方をした場合、体重が60㎏の方に使われる薬剤は1回180㎎。金額にすると約130万円となります。
もちろん1回で治療が終わるはずもなく、2~3週間に1回の点滴が年単位で続きます。

実際に患者さんが支払うのは、高額療養費制度が適用されるので、患者さんは自己負担限度額を超える分を払う必要は無く、収入によっても異なりますが、自己負担額は最高でも月15万円を超えることはまずありません。
患者さんの自己負担分を除いた金額は、健康保険料から出ることになりますので、その金額は大変大きなものになります。

今回は、オプジーボでこのようなイレギュラーな引き下げが決まりましたが、政府はオプジーボだけではなく高額な医薬品については、随時値下げできる恒久的なルールづくりをしていくようです。「市場規模が拡大するような事態にも対応できるような薬価算定ルールの見直しを行う」と表明しており、厚労省は、使える病気が広がって販売額が急増した薬について、その都度値下げする仕組みなどを検討する。と発表しています。

製薬メーカーからすれば、予想外のことでしょうからそのダメージは計り知れません。
また、薬価が変わるとそれに伴う様々なシステムにも変更が伴います。
ただ、現在の保険財政を考えれば、今回のような見直しも仕方がないのかもしれませんね(K)

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B型肝炎のワクチンが定期接種に

B型肝炎ウイルスの感染を防ぐためのワクチンが、10月から0歳児を対象に原則無料で受けることのできる定期接種になりました。
1歳になるまでに3回の注射が必要になるため、乳幼児期のワクチン接種スケジュールの調整が更に必要になってきます。

定期接種の対象は、今年4月以降に生まれた0歳児が対象になります。
標準的なスケジュールとしては、生後2か月・3か月・7~8か月に接種するスケジュールになります。という事は、4月生まれのお子さんはなるべく早く接種しないと1歳までに接種が終わらなくなってしまう恐れがありますので、かかりつけの医師に早めの相談をお勧めします。

最近では、お子さんが接種対象となるワクチンが増えており、今後もおたふくかぜやロタウイルス感染症のワクチンも定期接種の候補になっているようです。日本小児科学会が推奨する接種スケジュールを見てみると、1歳前後のになるまでに、任意も含めると10種類以上の接種が必要になることになります。
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdf
発熱などで予定通り予防接種が出来ないと、ただでさえ日程が込み合っているのに、接種スケジュールがますますキツクなってしまいますよね。状況にもよりますが、ワクチンの同時接種という事に関して、医師との相談の上検討する事も必要になってくるかもしれません。
(参考)
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/saisin_1101182.pdf

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薬と健康の週間

10/17-10/23の1週間は「薬と健康の週間」です。

それってな~に?という感じですが、目的は、厚生労働省、都道府県、日本薬剤師会及び都道府県薬剤師会などが主催して「医薬品や薬剤師等の専門家の役割に関する正しい知識を広く国民に浸透させることにより、国民の保健衛生の維持向上に寄与することを目的とする。」要は、医薬品を正しく使用することの大切さ、そのために薬剤師が果たす役割の大切さを一人でも多くの方に知ってもらうために、ポスターなどを用いて積極的な啓発活動を行う週間という事です。

例えば、医薬品を正しく使用することは当然で、近年薬物の乱用などはもちろんですが、使用期間、用法、用量、保管方法などを守り、使用上の注意を十分に理解して、正しく使用しなければならないこと。
特に高齢者については、肝・腎機能低下のため副作用が起こりやすく、また複数の医療機関・診療科受診による重複投薬、相互作用又は記憶力・注意力低下による誤用等の危険性が高いことから、なお一層医薬品を正しく使用すること。
また、医薬品の誤飲事故、特に小児による医薬品の誤飲事故の事例が多いとされていることから、医薬品を小児等の手の届かない場所に保管するなど、適切な保管・管理をするよう、患者の家族等への注意喚起すること。
などなどを改めて普及啓発する週間です。

さらに、薬局側にも薬局における医薬品の管理や販売方法、一般用医薬品のインターネット販売を行っている販売サイトへのに関するの販売ルールの遵守について点検、お薬手帳の使い方や昨今話題の「かかりつけ薬局」を持つことの利点などの啓蒙活動など、様々な事に関して、薬局および薬剤師が国民ん皆様にどのようにお役に立てるのかをアピールする機会です。

お薬の質問などわからないことがありましたら、是非とも薬局・薬剤師にお尋ねください。
調剤薬局でも、処方箋をお持ちでなくてもジャンジャン質問していただいて構いません(^^)

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参考
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/okusuri/info/index.html

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副作用の情報提供

厚生労働省が公表したところによりますと。一般用医薬品を販売するインターネットサイトの28.6%が、薬の販売時に副作用などの情報提供をしていなかったとする2015年度の調査結果が出たようです。
薬のネット販売が解禁された14年度(46.8%)よりは改善しているようですが、同省は「依然としてルールが徹底されておらず、自治体と連携し改善指導を進める」としているようです。

薬の副作用については、服用する前にお薬手帳やアンケートなどを確認することで、なるべく発生しないようにしていますが、100%防止することはなかなか難しいのが実情だと思います。
副作用が出てしまったときに、それを重症化させないためには、やはり早く副作用であることに気が付き(疑い)、医療機関に相談したり受診することが必要です。

これからは、今まで医療用の薬だったものが、スイッチOTCで処方せんなしで購入できる機会が増えてきます。
販売する側が、正確な情報を分かりやすくお伝えするのは当然ですが、購入される側も情報を得られるように心がけていく必要があると思います。
医薬品の情報は大切な情報なので、今まで以上に上手に利用できるようにしたいですね(K)

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痛み止めは坐薬でも胃腸障害があるのでしょうか?

痛み止めの飲み薬の副作用に胃腸障害があるのはよく知られていますよね。
では、同じ成分の坐薬ならどうなのでしょう?

例えば、ボルタレン錠もしくはボルタレンSRカプセルとボルタレン坐薬で比較したときに、どちらのほうが胃腸障害の副作用が出やすいと思いますか?
なんとなく飲み薬のほうが胃腸障害が出やすくて、坐薬なら胃を通らないんだから大丈夫なんじゃない?と思われる方も少なくないと思います。

ここで痛みの仕組みを超簡単に。
怪我などで腫れたり炎症があるとプロスタグランジンという物質が産生されて、そのプロスタグランジンが痛みの刺激を増強します。
例えば膝をぶつけて痛めてしまった時、その部分に炎症があればそこからプロスタグランジンが産生されて、「膝に痛みがありますよ。気を付けてくださいね」という危険信号を脳に伝えやすくします。

上記のボルタレンなどのNSAIDsといわれる鎮痛剤は、このプロスタグランジンという物質が作られるのを抑えることによって痛みを感じにくくする薬です。
飲み薬でも坐薬でも薬の作用は同じです。
と、言うことは副作用の危険性も同じなのでしょうか?

NSAIDsの副作用の一つである胃腸障害は、プロスタグランジンの生成を抑制するときに炎症しているところだけで産生を抑制すれば良いのですが、同時に胃の粘膜を保護する時に産生されるプロスタグランジンも抑制してしまうため、胃腸障害が起こりやすいと言われています。
と、いうことは坐薬でも胃腸障害が起こる可能性があるんです。
坐薬は胃を通過しませんので、胃の粘膜に直接刺激を与えることはありません。なので、その分飲み薬よりは胃腸障害の副作用発現率が低くなるかもしれませんが、薬のメインの作用が関連する副作用としては、飲み薬でも坐薬でも同じなんです。

痛み止めには、NSAIDsだけでなくいろいろな種類があります。
それぞれによって作用や副作用も違ってきますので、ご自分で服用されているお薬でわからないことがありましたら薬剤師に聞いてみてください(^.^)

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