疑義照会
FBで「疑義照会」について掲載しました。
この「疑義照会」は、お薬の飲み合わせだけでなく、処方箋上の不備や、患者さんの疾患と、薬の効果や副作用の関係など、処方箋上で考えられる様々な事の確認作業になります。
例えば
①アダラートCR 1T 1×朝食後 28日分
と言う記載が処方箋上にあったとします。
この場合、アダラートCRの規格が記載漏れです。このアダラートCRには10mg~40mgの規格がありますが、どの規格のアダラートCRをお渡ししたら良いか分かりません。
②前立腺肥大で受診中の方が、風邪でいつもと違う医療機関を受診しました。
ツムラ麻黄湯 7.5g 3×毎食前 3日分
と言う漢方薬が処方されたとします。
麻黄湯には、エフェドリンという成分が含まれており、前立腺肥大等による排尿困難の症状が悪化してしまう事があります。
前立腺肥大の治療状況によって、服用できるかどうかが変わってきます。
こんな具合で、例を挙げ始めるとキリが無いのですが、処方箋から読み取れる疑問点は全てチェックして、必要があれば「疑義照会」となります。
数回前のブログ「調剤薬局で働く薬剤師の泣きどころ」のところで、処方箋には病名の記載がない・・・という掲載をした事があります。
この時は保険上の話でしたが、このような疑義照会をする上でも病名が分かると、薬局でもより正確な判断をすることが出来ると思います。
お薬を安全に服用していただくためにも、カルテクラウド化が早く実現すると良いですね(K)
調剤薬局で働く薬剤師の泣きどころ
今週のFBでピロリの除菌の保険適用病名が増えそうだという投稿をしました。
この保険適用の病名というのは、調剤薬局で勤めている薬剤師の泣きどころでもあります。
どういう事かと言いますと、例えば、病院で「胃潰瘍」の病名がついてピロリの除菌をすることになりました。
処方箋には当然保険適応で除菌の薬が記載されてきます。
これが「胃炎」の病名でピロリを除菌する場合、現行では処方箋は「自費」の処方箋にならないといけないのですが、何かの拍子に間違えて保険適応の処方箋で薬局に来てしまった場合(保険での扱いが多いので時々ある間違いです)、薬局で自費か保険適応かの区別はできません。
そのまま保険で処理してしまうと、何ヶ月かあとになって、保険者(負担金以外の医療費を請求した先)から「間違ってますよ」と返戻が来ます。
どうして、自費か保険適応かの区別が出来ないかというと、処方箋には「病名」が書いてないからです。
同じ薬でも、病名によって保険の適応になる場合とならない場合がある例です。
これが実は結構大変で、先発品とジェネリックで適応症が違ったりするケースでもチェックすることが出来ません。
例えば、A薬という先発品には、〇〇と☓☓と△△という病名で保険適応があります。
そのジェネリックのA´薬には、〇〇と☓☓しか保険適応がない。というようなケースがあります。
こんな場合、△△の病名でA薬が処方されていた場合、薬局でジェネリックのA´薬に変更してしまったら保険の適応では無くなってしまいます。
いずれカルテがクラウド化されれば、このような事は無くなるはずなのですが、個人情報の取り扱いやセキュリティーの問題など、クラウド化にはまだまだ壁がありあそうです。(K)

レセプト作業(今と昔?)
FBで冷蔵庫の温度計や滅菌したシロップ瓶などの紹介をさせていただいております。
薬局の調剤業務もすごく効率化されてきているのですが、薬局業務の中で何より大きく変化したのは、レセプト(保険請求業務)作業ではないかと思います。
国民皆保険の日本では、医療機関を受診する際の多くが保険診療です。
風邪や怪我で病院を受診すると、保険証の負担割合で医療費の1割~3割の負担金を窓口で支払います。
では残りの医療費(9割~7割)はどうなるのでしょうか?
この部分は、皆さんが何らかの形で収めている健康保険料から支払われます。簡単に言うとこの9割~7割部分(患者さんの負担分以外の部分)の請求業務をレセプトと言います。
昔は(といっても20年ほど前ですが)、請求用の紙を打ち出して(←項目ごとに色が違っていましたね~)、それを束にして支払基金というところへ運んでいました。
この打ち出し作業とその後の点検作業が大変で、打ち出す機械は紙詰まりをするし、点検作業はほとんど手作業(目作業?)で行われていたので、レセプト残業というのが結構普通にしかもタップリありました。
それが今では・・・データーをPC内でまとめて点検作業をし、インターネット回線でたちまち請求出来ます。もちろん最終チェックは「人」がしますが、時間的には1/10位になっているのではないでしょうか。
ほとんどレセプト残業というのは無くなりました。
その分レセプト作業が終わって、「さぁ1ヶ月が終わったぞ」という達成感も大分薄くなってしまいましたが・・・
(K)

保険証
調剤薬局の受付で「保険証をお持ちでしたら確認をさせていただけますか?」などと言われたことはありませんか?
病院やクリニックで1回見せているのに、薬局でも必要なのか?と思われた方も多いと思います。
処方箋でお薬を調剤する場合のお薬代(患者さんの負担金)は、病院やクリニックの支払いと同じように健康保険を使って、その割合に合わせた額を支払っていただいております。
処方箋には保険番号が記載されています。その記載された保険番号は、病院やクリニックで転記された番号です。その多くが手作業である事が多い為、稀に入力が違ったり期限が切れてしまっていても気が付かない事があります。
人間のやることなので、100%はありません。番号が違っていたり、期限が切れていたりすると患者さんの負担金の割合が違ったり、保険で支払われるはずの部分が支払われなくなったりしてしまいます。
その為、初めて薬局にいらしていただいた患者さんや、今までと保険が変わった場合等に、処方箋に保険証の番号が入っていても、その確認のために保険証の提示をお願いすることがあります。
ご理解いただき、保険証の提示にご協力いただきますようお願いいたします。
(K)
薬局の話
皆さんは、お薬をもらいに調剤薬局へ行ったとき、「名前が呼ばれるまでに時間がかかるなぁ」「後から来た人の方が先に呼ばれてる」などと言う事がありませんか?
調剤薬局では、何をやっているのだろう?
これって分かっているようで分からないですよね。
多くの調剤薬局では、処方箋を受け取るとまず処方箋の内容をパソコンに入力します。
調剤薬局で処方されるお薬は、病院やクリニックなどと同様に健康保険を使っているので、調剤薬局で必要になる負担金を計算します。
その後調剤(お薬を用意します)に入るのですが、ヒート品と言われる錠剤や既にメーカーでパックされている粉薬等だけで調剤が出来る場合は、ほぼ順番通りにお呼びすることが出来、時間もそれほどかからない事が多いです。この場合は、患者さんの待ってる人数に待ち時間が比例します。
しかし、薬局で粉を混ぜていたり、シロップを調合したりするとその工程に時間がかかります。
シロップは1つ1つをシリンダーで量を計って混合します。粉薬も1つ1つを計りで計って、必要であれば混合して分包機という機械で1回分づつに分包します。
外用薬でも何種類かの軟膏を混ぜ合わせる場合には、やはり混ぜ合わせる時間が必要です。
調剤をする上で、このような工程が必要な場合、お薬の出来あがる時間が前後し、患者さんをお呼びする順番も変わってきてしまいます。
シロップや粉を計るケースで一番多いのがお子さんのお薬です。
本来であれば、具合の悪いお子さんを優先的に調剤して、早く帰宅させてあげたいのですが、どうしてもお子さんの場合は、症状や年齢、体重等によってお薬を細かく計らなくてはならないケースが多く、お待たせしてしまったり順番が前後してしまいます。
「最初から作っておけば良いではないか」という声が聞こえてきそうですが、もちろんそのような対応が出来るものは「予製」と言って予めお薬を混合しておいたりするような事もしますが、基本的には症状や体重等によってお薬の量が少しずつ変わってきてしまう(特に小さいお子様)ので、処方箋を見てから調剤するというのが基本になります。
調剤が終了したら、「監査」と言ってお薬の飲み合わせの確認はもちろん、お薬がキチンと処方箋通り出来ているかを確認します。
これも粉薬やシロップ剤の場合には、重さを計ったり異物の混入が無いかどうか等の確認で時間がかかってしまいます。
お薬の量や種類が違うと思わぬ副作用が出てしまう事がありますので、この監査という工程は非常に慎重に行われます。
では、時間がどのくらいかかるのか知りたい時にはどうしたら良いのか?
処方箋を渡す時に、「どのくらい時間がかかりますか?」とお尋ね頂けるとおおよその時間はお答えできると思います。
お急ぎの場合や時間を確認したいときには是非お尋ねください。
(K)